下に弟や妹が生まれることの嫉妬心から、ちょっとしたことで泣いたり、赤ちゃんのように幼くふるまったりするのが赤ちゃん返り。
歳の差があっても、上の子の年齢が大きくても、何かしらの形で赤ちゃん返りが出ることがあると言われています。
でも、赤ちゃん返りという言葉のイメージによって
「幼い様子」
とか
「後退している様子」を連想してしまうのではないでしょうか。
でもね、実際の赤ちゃん返りって実は、そういう単純な反応ばかりではないのです。
今回は、一見
「なんでこんな風になっちゃうの?」
という子供の反応が、実は赤ちゃん返りだったという実例をもとに、兄弟が生まれることへの嫉妬心について考えてみたいと思います。
うちの長男の赤ちゃん返りは、“思春期”そのもの
私の息子たちは5歳の年齢差があります。
それほど大きく離れすぎてはいませんが、次男が産まれたときの長男の年齢は5歳。
自我の確率もある程度落ち着き、親と離れて過ごす園での生活も謳歌し、それなりに自立心の育っている状態でした。
2人目が生まれるのだから、長男には何らかの変化があるだろうとは思っていました。
おもらしなどの、はっきりと分かるストレス反応もありました。
でも我が家の場合、いわゆる「赤ちゃん返り」とは全く違うサインを出していたので、気が付くのが少し遅れてしまったのです。
長男の様子は、退行というよりも思春期そのものでした。
- 話をしたがらない
- 何か聞くと不機嫌そうに答える
- 否定的な意見をする
- 注意に対して支離滅裂な言い訳をする
もちろん、思い通りにならないことに対して寝転がって泣くなどの、2歳前後の幼児のような反応をみせることもありました。
これに対しては、
「弟ができたことへのストレスかな…」
と察知することができました。
でも、上記のような「不機嫌」とか「否定的な発言」は、赤ちゃん返りとは正反対です。
弟が生まれる前からこのような様子があったのですが、実際に弟が生まれてから1年以上もずっとこのような状態が続きました。
長男の赤ちゃん返りを加速させた理由
私は当時から、上の子とゆっくり接する時間を作ることを心がけていました。
でも、そのためには早く下の子を寝かしつけるとか、スムーズにやるべきことを終わらせて時間を確保しなければなりませんでした。
この頃、夫は体調不良であまり家事や育児に協力を求められる状況ではなく、全て一人でこなすいわゆるワンオペ育児。
実家、義実家共に他県なので頼ることはできません。
言い訳するなら、本当に忙しかったんです。
上の子との時間を確保するために必死で、話を聞く時間や目と目を合わせてゆっくりする時間も惜しかった。
とにかくやることを終わらせて、自分が上の子に集中できる時間を作ろうと思ったんですね。
でも、それでは長男の気持は全く満たされていなかったのだと思います。
「今」話を聞いてほしい。
「今」目を見て欲しい。
そう思っていたのかもしれません。
ついつい。ちょっとまってね。
あとでゆっくり話を聞く気があるからって、大人は理解できるもの。
でも、子供は「今」を逃してしまうと、何が言いたかったか忘れてしまうんです。
大人の感覚で「あとでゆっくり話そうよ」って思っても、子供には伝わらないんです。
私はこれにずっと気が付かず、長男をさみしい思いでいっぱいにさせていたんだと思います。
しっかりしている子ほど、赤ちゃん返りではない違った反応をするのかも
親の気持を察したり読み取ったりする能力が高い子や、精神年齢の高い子ほど、下の子が産まれることへの嫉妬心やストレスを、変わった形で表現してしまうのではないかと思っています。
うちの長男の場合は、他にもいろいろな反応をみせていましたが、ストレートに「さみしい!」って言えなかった理由がいくつか心当たります。
- 自分はもう大きいことが分かっている
- 弟が可愛い気持ちもある
- 弟を可愛がるのが正しいことも分かる
- カッコいいお兄ちゃんになりたい気持ちもある
- お母さんが忙しいことも分かる
全て分かっている子ほど、ストレスサインを出しにくいのです。
分かっているけど、さみしさや嫉妬心を感じる心はみな同じ。
感じていないのではなく、出しにくいということですね。
歳の差があるほど「赤ちゃん返りできないストレス」を抱える
歳の差が大きいと、下の子が産まれても平気なのではなく、そのサインを出しにくくなってしまうだけなのです。
自分の立場をわきまえ、どう振る舞えばいいか子供なりに考えています。
でも、やっぱり思うようにできない。
そんなたくさんのストレスが、複雑な形で現れる。
だから親も、「なんで?」「どうしたの?」という疑問が強くなり、うまくかみ合わなくなってしまうんですね。
長男の曲がった赤ちゃん返りへの対処は?
私の場合、とにかく赤ちゃん返りしてもいいのだということを教えようと思いました。
このことに気付いた翌日より、赤ちゃん扱い開始。
もちろん、めちゃくちゃ大変でした。
赤ちゃんを赤ちゃん扱いするのは楽しいですが、5歳の体格大きめの子供を赤ちゃん扱いするのはけっこうしんどいです。
けっこうじゃなく、とてつもなくしんどいです。
赤ちゃん扱いするにしても、バブバブ甘えてくれればいいのですがそうではありません。
反抗的な態度で向かってきたり、私に否定的な意見をしたりします。
泣いたり怒ったり、そんなことばかりで普通に楽しく会話できることの方が少ないんです。
うちの子の場合、これだけでなく皮膚の感覚過敏まで発症して、本当に気が狂うかと思いましたよ。
それでもなんとか、今までやってきました。
赤ちゃん返りが治まったと思ったら、今度は小学校1年生になって環境の変化へのストレスで荒れて……。
きっと子育てに、一生「楽」はないのだと、痛感しています。
こうして強い反応を示す子ほど、いろいろなことを感じているんだと思います。
色々な雰囲気を読み取り、空気を読んで、場に適した対応をしようと必死なんですね。
だからこそ人一倍ストレスを感じてしまい、そのしわ寄せが母親に来るのです。
それはもう、仕方がないことですね。
だから余計に、外で受けてくるストレスのはけ口に自分がならなければいけないという使命感は持っています。
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さいごに
赤ちゃん返りは、決して甘えん坊になったり、泣き虫になったりという可愛らしいものだけではありません。
年が大きければ大きいほど、頭での理解度が上がれば上がるほど、その嫉妬心への反応は複雑怪奇なものになるのです。
それに気が付けるのは多分、毎日多くの時間お子さんと接しているお母さん・お父さんだけです。
どうか、些細なサインを見逃さず「もしかしたら、さみしさの表れなのかな?」と、手を差し伸べてあげて欲しいと思います。
きっと、いつか落ち着きますし「あのときは大変だった」と、笑い話にできる日が来るはずです。
今は辛抱のときかもしれませんが、一緒に頑張りましょうね。
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